蒼穹の昴(1) (講談社文庫)



蒼穹の昴(1) (講談社文庫)
蒼穹の昴(1) (講談社文庫)

ジャンル:歴史,日本史,西洋史,世界史
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こんなに夢中にさせてくれた作品は久し振りです。

浅田先生の作品が好きで、『地下鉄に乗って』は、原作と映画を観、
特に『壬生義士伝』においては、映画、そして渡辺謙主演の長編ドラマも観ました。
そして『蒼穹の昴』。ああ、どうしよう。気づけば4冊。読むの大変そうだな。。
そんな思いで久々に浅田作品を手に取りました。
そんな私が仕事中でも仕事をほっぽり出しても、本を読みたくなったのは初めてかも
しれません。格別に、群を抜いて面白かった。
春児、文秀、そして小説の登場人物すべての生き様が心に焼きつきました。
キャラクター、そして背景描写の素晴らしさに何度も唸らせられました。
後半が残念という意見もありますが、これだけ膨大な情報量を1本のストーリー
としてまとめられたこと自体に感服です。
登場人物が綺麗事でまとめられていると言われると、確かにそうかもしれません。
春児などは心が清らか過ぎて本当に雲の上のような存在に思え、
最初はこんな人間っているのか。と、私も抵抗を抱きました。
ただ、それは荒廃した目で物事を見ようとする心に映る一つの真実なんだろうとも思っています。
(決してそれが間違っているとは思いません)
しかし、結局、人間が心を打たれるもの、そして求め続けて止まないものとは、
そんな綺麗事とも思えるような希望であって、決してドロドロとした陰鬱なものでは無い。
どんなに心が打ちひしがれようと、ズタズタになろうとも、人間が人間として生きる為に必要なもの、
抱き続けなくてはいけないものは、春児のようなまっすぐに輝く昴の光なんだろうと思います。

『蒼穹の昴』は私の愛読書のひとつになりました。
この作品に出会えて本当に良かった。
後半が残念

浅田次郎の作品の多くには好感を持ちファンですが、この「蒼穹の昴」は前半が力強く、すばらしい出来なだけに後半の不完全燃焼が非常に残念で、結果、星は3つです。

歴史ドラマとしては、近代中国の興味深い時代を取り上げて、実在・架空の魅力的な人物を混在させ、独自の解釈と創造性を持って非常に面白いストーリー展開です。登場人物の成長や苦難を乗り越えていく様を読み進むのは、確かな手ごたえがあり、どんどん話の中に引き込まれます。

ただし、後半になると、他のリビューアーの方もコメントされていた通り、あまりに多くの人物を起用して飽和状態になり、一つの話の大きな流れが滞ってしまいました。まるで、デッサンはしっかり出来ていたはずなのに、色を沢山塗りすぎてゴチャゴチャになった絵画のようです。もっとメインのキャラクターにしっかり光を当てて強弱をつけて話を終えて欲しかった。それが出来る力のある作家だと思いますが、思い入れが強すぎ、あれもこれも盛り込んでしてしまったのが敗因でしょうか・・・。

また、これも既に指摘されている点ですが、西太后が数多の解釈と異なり愛情豊かな女性として描かれていますが、その割に残酷な仕置きの場面が多く、いささか説得力に欠けているように感じました。

歴史物が好きな方もあまり興味のない方も前半は「科挙」「宦官」制度など、非常に興味深く読ませるので、充分楽しめると思います。後半は前半の勢いは感じられません。

時間を忘れます。

清朝末期の混乱を描いた壮大で陰鬱で、そして爽快な物語です。
一部、歴史上の人物が出てきますが、あくまでもこれはフィクション。
それでも、綿密な人物描写、混沌の社会構図。拡散した複線が一気に
加速していく速度感を行間の端々に感じることができます。
それぞれの、魅力的に描かれた人物も花を添えています。
4巻すべて一度に読破してしまうほど引き込まれました。

壮大な制度社会とその瓦解

清朝の最後がいかにして崩れていきその中でどんなドラマがあったのか・・・
中原に聳える壮大な制度科挙試験の凄まじさとそれを勝ち抜くエリート達一喜一憂する地元民。
独特の人種宦官の凄惨なまでの生き様と骨肉の出世争い。
そして100年後でも威光を放ち続ける乾隆帝が築いた諸々のシステムとそれを可能にした才能達。
あらゆるパズルが少しずつ少しずつかみ合っていくがまだ合致しきらないところで1巻目は終わる。

最初は慣れない北京語フリガナに苦しむが徐々に慣れてきます。
それにしても乾隆帝に収まる韃靼人支配の頑強さは凄みがある。
30万の韃靼が4億の漢民族を支配できたのも頷ける実直さと柔軟さ。
慣れない中国語でのあらゆる書物の理解とともに韃靼のルーツをも固持する賢さ。

占師によって「全てを手中に収める」と予言された糞拾いの少年が自らの意思で去勢したシーンには息が詰まった。

さぁどうなる・・・早く2巻に進まなくては・・・

清国の「失敗した明治維新」

浅田次郎さんよく勉強したなぁ、というのが第一印象。そのために実に内容が濃い、面白い小説になった。時代は中国清朝末期。日清戦争前後。

表面的な主人公は一応、宦官春児と官吏登用試験を一位で突破する梁文秀と言うことになるが、真の主人公は恐らく西太后(清朝末期の実力者・女性)であろう。彼女については色々おどろおどろしい噂があるが著者は一切取り上げていない。大変複雑で魅力的な女性として描いている。

印象的なのは、宦官の実態と科挙(官吏登用試験)を赤裸々に書いていることだ。私はこの本で始めてその実態を知った。これを知るだけでも一読の価値がある。

春児と梁文秀にはモデルがあるようだが、小説とはモデルとはかなり違っているようだ。純粋に小説家による創作と思ってよいだろう。一方実在した人物も出てくる。曽国藩、李鴻章、袁世凱、等。しかし、康有為の名は私は知らなかったが実在の人物のようだ。

内容を一口で言えば、清国の「失敗した明治維新」である。清国に比べて日本は幸せであった。しかし日本の現在の政治家、経営者がその幸運に感謝しているようには見えない。不幸なことだ。そのことが日本の将来を暗示しているように感じる。

終わりの方で少年時代の毛沢東が出てくるのは作家のお遊びかサービスか?




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