蒼穹の昴〈下〉



蒼穹の昴〈下〉
蒼穹の昴〈下〉

ジャンル:歴史,日本史,西洋史,世界史
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涙に暮れた激動の下巻

外国の干渉が強くなり、今にも押しつぶされそうになる中国。それを、鬼となり必死で支えようとする西太后。新しい時代にせめて中国の本質だけでも残そうとする彼女に春児は仕えて働きます。
しかしながら、個人の感情などは押しつぶす、国というものの構成の中で、時代は皮肉に動き進んでいってしまいます。
新しい時代に対抗しようとする権力者達の思惑は交差し、国は振り子のように揺れ動く。そこを狙う諸外国。やがてそれは弾け、一つの集結を迎えることとなります。
貧農の糞拾いの子だった春児。運命というものに抗って生きた彼は、昴の星を掴むこととなるのでしょうか。

作中、盛りだくさんに出てくる登場人物達は皆掘り下げが深く、それぞれの信念、想いをしっかりと受け取ることができます。そうしてたっぷりと感情移入させられた上で、浅田節とも言える、泣かせる台詞が満載。
泣き疲れてみたい!という方におすすめの一冊です。
大清帝国、崩壊

下巻にはいり、話の展開はそのスピードを上げてゆく。上巻ではほぼ主人公の座を動かずにいた春児(チュンル)と梁文秀(リャンウェンシウ)だが、下巻にはいると、誰を真の主人公と呼ぶべきなのか悩むほどに大勢の登場人物が、断末魔の咆哮を上げる大清帝国の落日を次々と飾ってゆく。宮廷の奥深くで、あるいは紫禁城の城壁の外で、密かに絶えることなく続けられる陰謀・企ての数々も、帝国崩壊への歯止めには全くなり得ない。人間の浅慮をあざ笑うがごとくに歴史の輪は音を立てて廻り続け、避けられない結末はまさに目前にある。
自らの手で宦官となった春児も優秀な若き政治家となった梁文秀も、それぞれの道を昇り続け、やがて望まぬままに政敵の立場となって再会する。権力者西太后の側近として仕える春児と、その対抗勢力として光渚帝の擁立を画策する梁文秀。やがて、勝負にもならない政治対決を制した西太后は三たび政権の座に就き、そして清の倒壊が急速に進む。それはたとえば、西に傾く落陽を再び東の空に引き戻す事が誰にもできない、というほどに当たり前の真理なのだが、それに気づく者は少ない。
著者は、強権比類なき西太后にも、貧農の名もない文盲の娘にも、軍人にも政治家にも宦官にも、等しくその人生に目を向ける。春児の口を借りて、まるで教会の司教が信者に語って聞かせるような慈愛と人間の幸福についての言葉は、深く印象に残る。激動の時代を必死に生きた人々への言葉であるだけになおさらだ。
動乱と流血の100年として後世に記憶されるであろう20世紀は、東洋の大帝国崩壊とともに始まる。そして、あまりにも有名なラストエンペラー愛親覚羅溥儀の登場を待ちつつ、壮大なストーリーは静かに幕を降ろす。人間は生きる時代を選べない。その厳然たる事実が心に迫って、しばらくは感動のうねりが止まらない。
おもしろ過ぎて、思わず単行本を買いなおしてしまった

最初は文庫本で買って読んでいたのですが、途中で

「これは我が家の永久保存文庫」

と認定し、単行本を買いなおしてしまいました。


近代、中国の清朝末期の話。
二人の主人公の内、
一方は科挙と呼ばれる超難関の国家試験をトップで合格しエリート役人に、
一方は自分の未来を信じて、ある行為を行い皇后の付き人に

それぞれの人生は一点を目指して進んでいくが、
絡み合う運命の中、何度もすれ違いそして終着点にたどり着く。


誰が主人公か。それすらもわからないほど、
各登場人物が深く広く描かれていて、物語を彩ります。

この本を読み終えたころには、確実に登場人物誰かのファンになっていること間違いなし。

健気に強く生きる春児に。強く生きることを強いられた西太后に。

みなが強く、やさしくあろうとした人々で、誰もが愛せる人たちです。


作者自身が、
「この本を書くために作家になった」と言い切るのは納得です。
続きを読みたい

 西太后から政権を奪取しようとする企てに敗れた皇帝と、主人公の末路が後半で描かれている。
 この話の中の「白眉」に当たるので、ネタバレになってしまうかもしれないが、清国というか中華の政権の象徴は、実は、このときには存在しなかったと言うさりげない話が、織り交ぜられており、結末を予感させる。
 この間、歴史の本では弱腰外交の象徴のように言われた李氏の思慮遠謀は、香港返還としてこの本が出るときに実現している。また、主人公と科挙の順位を争った人物が、(ネタバレで申し訳ないが)毛沢東の家庭教師になるという結末も、その後の中国の行く末を示している。
 では、若き皇帝と主人公はその後どうなったのか?そして、謎の女性チャンはどうなったのか?
 前者については、ミステリータッチで「珍妃の井戸」として後に出版されたが、他の部分は謎のまま残った。
 このことが、この本の最大の欠点で、気になって仕方ない。
 しかし、そうした続編を望ませる力量と言うものこそ、この後の名作のスタートになっていると思う。
読み始めたら、寝ることはできない

中国ものなので、ちょい難しいかと思って読み始めましたが、ぐんぐんと夢中で読みました。特に下巻に入るとまさに寝ずに読んだという感じです。
色んな人物が登場する上に、それぞれのキャラが生きてます。
最初は硬い調子でしたが、西太后登場あたりから、ちょいとくだけたプリズン調になったのは、笑わせてくれます。
西太后をこういう描き方をした作品は今まであったんでしょうか?
浅田小説の最高傑作のひとつではないでしょうか。



講談社
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