蒼穹の昴〈上〉



蒼穹の昴〈上〉
蒼穹の昴〈上〉

ジャンル:歴史,日本史,西洋史,世界史
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運命を超えて行くサクセスストーリー

貧農に生まれた糞拾いの少年・李春雲(春児)。日々の食も満足に無く、生きることですら必死な彼にある日一人の占い師が未来を告げます。
「汝の守護星は胡の星、昴。汝は必ずや、あまねく天下の財宝を手中に収むるであろう。」
…その予言を信じ、春児は運命を切り開いていく。

上巻の話の流れとしては、そんな困難な境遇にあった主人公が、努力し、たくさんの出会いを受けて生き抜いていくサクセスストーリーです。
春児の頑張りはまわりに希望を与え、みんなに愛され支えられ、いつしか彼は西太后の側近へとなることとなります。
生きるために走ってきた彼ですが、辿り着いた場所は様々な思惑がうごめく皇宮。次第に時代も動き始め、大勢の登場人物が夢や野望を胸に動き出します。
その中心で才を振るい生き抜いていく春児。
権力が渦巻き、外国をも介入してくる激動の下巻へと続いていきます。
大きな歴史の渦へ

歴史の巨大な輪は、定めれた方向以外には決して廻る事はない。おそらくそれは、誰にも何にも決して影響される事のない、言わば宇宙の真理なのだろう。だから、この壮大無比な小説に綺羅星の如く次々と登場する歴史の英雄や国家の頭脳たちも、その例外とはなり得ないのだと心の底から思う。
舞台は19世紀最末期の清朝。帝国は、絶命寸前の巨大な龍以外の何物でもなかった。歴史の車輪に轢きつぶされながら、それでも紫禁城を取り巻く人々はそれぞれの思惑と野心の命ずるままに奔走を続ける。君臨する西太后。従う光渚帝。清の富と大地を虎視眈々と狙う外国列強。暴発し木っ端微塵になる寸前の綱渡りのような状況の中、極貧の農家に生まれた春児(チュンル)と家族親戚から蔑まれて生きる地方豪族の次男梁文秀(リャンウェンシウ)は、星と天体に操られるようにして次第に歴史の大渦の中に巻き込まれてゆく。風雲急を告げる大陸を吹き抜けてゆく黄砂は、一瞬もやむ事がない。
歴史小説ではあるものの、実在の人物が数多く登場し、ストーリー展開から目を離せない。しかも、ほんの100年前に生きた人々だから写真も多く残されていて、一層現実味のある内容に感じられる。
富に憧れ、権力を望み、国を憂い、人を想う。人間はたった一度だけ与えられる自分の人生をどのように歩めばいいのか、あるいはどのように歩むよう運命づけられているのか。どれほど抵抗しても暴れても、歴史の巨大な輪がその方向を変える事はない。決してない。それでも、人は精一杯に抗って上へ上へともがき苦しむ。それを見下ろす天空の昴。まこと激しい時代のうねりが、全編に溢れている。
激動の時代、壮絶な人生

つくづく凄い小説だなと思う。まず最初から面白い。その面白さが一度も失速することなく、むしろ加速し続けて最後まで行ってしまう。
特に下巻の後半はなかなか言葉にできない何ともいえない心の揺れを経験すると思う。

春児、梁文秀をはじめ魅力的な登場人物がたくさん登場し、そのほか清朝末期オールスターといった感じでその描かれ方が個性的で普通の歴史小説とは感情移入の深さが変わってくると思う。

歴史に不勉強な僕は、この本に出てくる李連栄を架空の人物と思っていた。最近ネットでその白黒写真を見て呆然とした。
おもしろ過ぎて、思わず単行本を買いなおしてしまった

最初は文庫本で買って読んでいたのですが、途中で

「これは我が家の永久保存文庫」

と認定し、単行本を買いなおしてしまいました。


近代、中国の清朝末期の話。
二人の主人公の内、
一方は科挙と呼ばれる超難関の国家試験をトップで合格しエリート役人に、
一方は自分の未来を信じて、ある行為を行い皇后の付き人に

それぞれの人生は一点を目指して進んでいくが、
絡み合う運命の中、何度もすれ違いそして終着点にたどり着く。


誰が主人公か。それすらもわからないほど、
各登場人物が深く広く描かれていて、物語を彩ります。

この本を読み終えたころには、確実に登場人物誰かのファンになっていること間違いなし。

健気に強く生きる春児に。強く生きることを強いられた西太后に。

みなが強く、やさしくあろうとした人々で、誰もが愛せる人たちです。


作者自身が、
「この本を書くために作家になった」と言い切るのは納得です。

作者の最高傑作

少年期に強い絆で結ばれた二人が、清王朝末期の混乱において、時代に翻弄されながら、
それぞれまったくちがった道のりで立身出世をはかります。

弱いものは虐げられ、国を憂う理想は踏みにじられるという厳しい現実の中で、自分たちの運命を変えるために、
主人公二人が権力を握るための決意をしていく過程は、強い悲壮感が漂います。
また、彼らが出世のために支払う多大な犠牲については、感動的ですらあります。
当時の中国の歴史が分かるのも良いですね。こういう複雑な心象風景を描ける作家はなかなかいないです。

膨大な時代考証も含め作者の気合が伝わってくる名作です。



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